アルゴリズムの行き着く先は?
昨年公開された米国娯楽映画「ターミネーター4」、レンタル屋さんにも並んでいるのでご覧になった方も多いかと思います。私、実はターミネーターシリーズの大ファンで、DVDも全部持っており、何度も何度も繰り返して見ています。
近未来、機械(マシーン)が自我に目覚め、マシーンがマシーンを作って人間に戦いを挑むというストーリーは、一見荒唐無稽なようですが、コンピュータの高性能化やプログラミングの進歩で、あながち空想の世界と言い切れなくなっています。ロボットが人間の言葉を理解し、意思を持って作業するようになるのも、そう遠くない話かもしれません。
相場の世界では、ここ数年「アルゴリズムトレード」という言葉をしばしば耳にするようになりました。アルゴリズムとはコンピュータに問題を解かせるための「命令手順」とでも訳するのでしょうか。要するに一定のロジックにより自動的に売買を行う一種のシステムトレードですが、最近のアルゴリズムでは、相場の動きによってコンピュータが状況判断を行い、自動的にロジックを選択するところまで来ているのだそうです。
たとえばコンピュータがレンジ相場と判断すれば逆張り系のルールでトレードを行い、持ち合いからブレイクアウトしたと判断すれば順張り系のルールに変更して売買シグナルを発します。発注機能まで組み込めば完全に自動・無人運転が可能となります。コンピュータは感情に左右されませんので、あくまで確率的に有利なトレードを冷徹に行うことができます。
おまけにコンピュータは過去のパターンを覚えて分析することは得意中の得意ですから、ベテランFXトレーダーの経験値や職人技といったものをプログラム的にレプリケート(複製)することができるわけです。米国にはこのようにアルゴリズムを利用したトレーダーやファンドが1990年代からすでに数多く存在し、「システム系ファンド」とか「ブラックボックス系ファンド」とか呼ばれていました。
さらに近年は顧客に相場を提示するマーケットメーカー側でもアルゴリズムを導入しているケースが増えており、聞くところでは相手の顧客の過去の実績からカバーするかどうかを判断するシステムもあるそうです。いつも損してばかりいる顧客の注文であれば、すぐにカバーしないほうが有利と判断し、逆に抜け目のない顧客にヒットされた場合は即座に倍返しすると判断することもあるわけです。
人工知能のチェスが人間を打ち負かしているように、アルゴリズムが人間の裁量による運用パフォーマンスを上回り、いずれは投資家も投機筋も皆コンピュータ任せという時代がやってくるのかもしれません。こうなるとマシーン対マシーンの戦いということになりますね。
ある市場において儲かるアルゴリズムを突き詰めていけば、だいたい同じようなロジックに収斂していくはずで、そうなると皆が同じことをやるようになり、最終的には相場が成立しなくなるという事態に行き着く可能性があります。市場全体が同じ方向に突進し、撤退するということを繰り返すことにより、極端に振れが大きくなる一方、方向性が出にくくなるかもしれません。
最近のFX需給関係について
2010年が明けて、最近のFXの需給関係はどうなっているのかと思い、久しぶりにCFTC(U.S. Commodity Futures Trading Commission)のホームページを覗いてみました。
すると1月5日付けの数字がアップデートされていましたので、早速グラフにしてみました。いわゆるIMMポジションです。それでは1995年3月からの推移を御覧下さい。
やはり、最近のJPY安USD高という傾向に反応してか、昨年の12月初旬まで積み上がっていた5万枚以上のJPYのロングポジションは見事に解消され、むしろショートになっています。さすがと言ったら良いのでしょうか。
ここで、簡単にIMMポジションについて説明しておきましょう。アメリカ合衆国のCFTCは、先物市場での投機的ポジションを監視するためにある程度以上の建玉を保有する先物取引業者に自己だけではなく委託取引を含めたすべてのポジションをCommitment of Traders の数字として報告させています。
皆が、ただポジションを報告するだけですとそのネットポジションは常にゼロになってしまい意味がありませんので、CFTCは建玉を保有する主体によって、銀行などの商業部門と個人やヘッジファンドなどの非商業部門に分けさせました。
IMMポジションというのは、このうち非商業部門の建玉のネットポジションの事を指しています。この部分の数字は、通常の経済活動以外の将来の経済情勢、金融情勢などの見通しによって大きく動く可能性が高いので、投資家たちが市場をどのように見ているのかを知るためのひとつの重要な指標になっています。
また、為替の先物は、CME(Chicago Mercantile Exchange)からスピンアウトしたIMM(International Monetary Market、今はCMEの1部門に収まっています)という取引所で取引されているので、IMMポジションというようです。ですから、原油や大豆などの先物のポジションではそういう言い方はしないのでしょう。
CMEではJPY先物の1コントラクトは12,500,000万円。今の為替水準ですとおよそUSD135,000程度ですね。1月5日現在では15125枚のショートですので、1890億円若しくは2,055(百万USD)のJPYショート(USDロング)になっているということになります。
また、このグラフでお分かりになると思いますが、IMMにポジションを持っている投資家(投機家???)は、為替の動きに対しては順張りで動く傾向が強く、JPY高USD安でJPYロングを積み上げ、逆にJPY安USD高の局面ではJPYをショートにしてきます。日本のFX投資家の一般的な動きとは真逆なので参考にしてください。